1.個人の業績 - 昇給は勝ち取るもの
米国では、昇給は基本的に本人の業績によって勝ち取るもの。業績が良ければ平均以上の昇給が与えられ、業績が悪ければ昇給の割合は低くなる。働いた分だけ報われるのだから従業員のやる気は上昇する。逆に全従業員に同じ割合の昇給を与えたらどうなるか。優秀な従業員ほど不満が高まり、転職を考えるだろう。ただし、個人の業績による給与調整を取り入れるには、公正な「業績評価システム」を持っていることが条件となる。評価のベースとなる当初の目標設定があいまいであったり、管理職によって評価の基準が違っていたり、主観や好き嫌いで評価が違っていたりすると、かえって社内の混乱を招いてしまうことになる。
2.前年の景気動向―2005年、CPIは3.4%UP
物価の高騰に対して給与の上昇率が低いと、実質的に目減りすることになるため、給与調整には景気動向のデータは欠かせない。多くの企業は消費者物価指数(Consumer Price Index: CPI)を景気の変動率として参考にしており、標準的な業績の従業員への給与調整率はCPIの上昇率に近い数字となるのが望ましい。 ただし、安易に数字だけを参考にすると落とし穴がある。例えば、昨年のある時期には、CPIが4.7%の上昇率を示したが、これは、ハリケーンなどの自然災害が燃料費高騰を招いた一時的な状況であり、2005年全体としては、全米でおよそ3.4%の上昇にとどまった。また、都市部とローカル、東海岸と西海岸などで景気動向も大きく異なっており、地域的な格差を検討することも重要である。
3. 失業率―2005年平均失業率は4.7%
求人数が増加して失業率が回復すると比較的転職が容易になる。このような状況で優秀な従業員を引止めるには、ある程度の昇給率が必要になるだろう。逆に景気が悪く、失業率が高い時期には従業員は現在の仕事を辞めようとしないため、無理して高い昇給率を設定する必要はない。失業率には、地域差に加えて職種や業界による差も大きいため、実際にはさらに詳細な情報が必要となる。
個人の業績と、CPIや失業率などの経済指標を組み合わせてその年の給与調整を決定することになるが、ポイントは、「競争力のある給与」であること。転職が一般的な米国では、同地域内の同業他社が、同様のポジションに対してどの程度の給与レベルを提供しているかを常に意識しておかなければならない。業界別、地域別、職種別の給与の動向に関する情報を入手し、会社としての報酬戦略を立てることが重要である。