-人事管理- 成功の方程式 年齢が高い≠解雇する
「うちに年齢の高い従業員がいて、やめさせたいんですが・・・」 これはよくお問い合わせ頂く内容のひとつです。 どういう対応が適切かお話する前にまず次の2つの事実を確認する必要があります。 米国にはProtected Groupといういわゆる法的に保護されたグループが存在し、 具体的には女性、マイノリティー、 そして40歳以上という項目がそれに該当します。 日本では採用募集広告に「35歳まで」と年齢制限を設けているものが少し前まではよく拝見された程、 年齢に対する差別意識が非常に薄い国ですが、米国においては年齢差別についての人事訴訟は数ある人事訴訟の中でも最も多い案件のひとつで 「年齢が高い=解雇する」という図式は成立しません。またご存知の通り、米国には日本のような定年制は存在せず、 ある期間我慢すれば自然といなくなってくれることも期待できません。 しかし、冒頭で書いた様に、確かに「年齢が高いので・・」という言い方をされる方は多いですが、実際にそれ自体は問題ではないはずです。 事実を的確に表現するとすれば、「支払っている給料に見合った働きをしてくれていない」ということではないでしょうか。 これは日本と同じように毎年少しずつ給与上昇を繰り返してきた企業に顕著な状態です。 対応として、Separation Agreementを用意し、相当額の退職金(Severance Pay)を支払うという解決策もありますが、 それでも従業員がサインをしない可能性も十分にありますし、コスト的にもかなりの金額を用意しなければならないかもしれません。 またこういった対応は他の従業員にとっても「辞めるときに脅せばお金をもらえる」という悪しき前例になることも多いのが実情です。 リスクを考慮した上で取り組むべき対応としては以下の2点が挙げられます。
@「悪い」「良い」の基準を明確化する。
まず何をもって「働きが悪い」とするのか明確に定義し、従業員にはっきり伝えることが重要です。 このような悩みを抱える企業の多くは、評価基準が曖昧、また評価スコアがインフレしているなど評価フォーム上は「良い従業員」と 記録が残っていることも多く、ますます対応が難しくなっていることもよく拝見します。 ミスが多い、業務処理が遅いなどいくつか理由はあると思いますが、まずは会社として求めるFair Standardを定め、 その上で改善を要請し、それでも改善がみられない場合(多くの場合はそうですが・・)は口頭及び書面の注意を重ね、 正確な記録を残していくことで、最終的な雇用上の決定の際にも十分な証拠をもって行える状態を作ることが必要です。
A給与レンジを作成・活用する。
次は何といっても給与レンジを作成し、天井知らずに給与が上昇する状態を回避することです。 後々の客観性を保つ上でも外部機関を使って給与調査を行い、自社独自の給与レンジを設定することをお薦めします。 アメリカでは基本給を下げることは降格でもない限り、一般的なものでなく、 通常は給与レンジを既に越えている従業員の基本給はフリーズすることが多いです。 しかしどうしても高い給与をすぐに下げたいという場合は、該当ポジションだけでなく組織内の全ポジションの給与レンジを公開し、 レンジ内におさまっていない従業員は全て同様の対処をするという企業全体としての取り組みという形で対応することもできなくはないですが、 多くの場合、基本給がレンジを超えている従業員の多くは年齢が高い場合が多く、そうなると年齢差別の集団訴訟を起こされないとも限りませんので、 その点には十分な配慮が必要かと思います。
このように一度給料と人材のバランスが崩れ出すと、正常な状態に戻すには多大な労力、時にお金が必要になります。 人事管理は問題の治療薬でなく予防薬です。問題を先延ばしにせず、気付いたらすぐに取り組む習慣が重要です。
給与レンジの設定、評価制度へのご質問・ご要望はお気軽に弊社までお問い合わせ下さい。
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